Vol.4 “やっているつもり” “わかっているつもり”のスキンケア
いまでこそ、小学生向けの雑誌でもビューティ関連のページが充実していますが、20年くらい前までほとんどの女性誌には、たまにメイクやダイエット、ヘアカタログやヘアアレンジなどがあるくらいで、スキンケアの企画はほぼありませんでした。
だから、私も20歳くらいまでは外資系有名ブランドのアイシャドウや口紅を使うことがおしゃれだと思っていたし、スキンケアに関する知識はほとんどありませんでした。
中学時代から10年以上も頬をおおうほどのひどいにきびに悩み、いまもそのにきび跡に悩まされているのは、当時、1日に何度もごしごしと洗顔し続けたという「間違ったスキンケア」が原因だと思っています。
先日取材でお会いしたファッション業界の第一線で働くおしゃれな50代半ばの女性も、スキンケアの知識がまったくないまま、6年前までスキンケアを適当にすませていたそう。
「海外の免税店でコスメを買いだめていた私は、だれからもスキンケアを教わらないままだったの」と彼女。
40代後半になって急に肌の衰えが気になって慌ててエステに駆け込んだとき、そのとき担当のエスティシャンから肌のお手入れがなぜ必要かということを生まれて初めて教わったと言います。
「30代後半まで普通の石鹸でメイクをごしごしと落としていたレベル。話題の高い美容液さえ使っていれば問題ないと思っていたの。化粧水も乳液もクリームも日焼け止めも使ってなかったのよ!」とかつての自分を思い返して失笑していましたが、そんな過去を感じさせないほど透明感あふれる美肌は毎日の丁寧なお手入れで復活したようです。
10年ほど前に起こった美容ブームによって多くの美容情報が発信されるようになり、日本人の美容意識はずいぶん高まったものの、かつての私のように間違ったケアを続けていたり、彼女のようになんとなくやりすごしてきた女性って、実は意外と多いようです。
洗顔やクレンジングでメイクやほこり、古い角質や過剰な皮脂を取り去るのはもちろんですが、皮脂分泌が少ない人は皮脂をとりすぎてはいけないし、せっかく肌に優しい洗顔料を使ってもごしごしとこすり洗いしては、肌はダメージを受ける一方。
化粧水は水分を与えるものですが、ちゃちゃっと肌に塗っただけでは内部までうるおいで満たすことはできず意味をなしません。
美容好きの定番スペシャルケアであるシートマスクも、敏感肌や極度の乾燥肌にとっては実は悪影響になるというのは意外と知られていませんし(もともと肌のバリア機能がない肌の場合、肌表面が湿った状態が続くことで、肌の常在菌が増えて炎症がおきてしまうため)、どんなに高機能な美容液も使用量や使うタイミングを間違っていては化粧品本来の機能を十分に働かせることができません。
肌を守るバリア強化の役割であるクリームも、ベタツキが苦手と言って使わない人も結構いらっしゃいます。「シミくらいいいわよ」と日焼け止めを日常的に使わない人も多いですが、光はシミをつくるだけでなく、肌の弾力を失わせてシワやたるみという老化も引き起こすということを知らない人はまだまだ多いようです。
スキンケアの基本は、不要なものを取り去り必要なものを与えること。
しかし、自分の肌の状態に興味を持たないまま無意識にルーティーンで済ませていては、世の中の常識も間違ったケアになりかねないのです。
まずは正しい肌の知識とケアアイテムの役割を知ること。そのうえで自分の肌から目をそらさず、興味を持って向き合うこと。そうすれば、おのずと必要性に応じたケアに変わり、健やかな美肌へと育っていくはずです! 美しい肌の持ち主はみな、自分の肌を研究し尽くしていますよ。
美容エディター・ライター 秋葉 樹代子
大学卒業後、出版社に入社。人気女性ファッション誌で美容やライフスタイル全般の企画を担当。独立後は、雑誌や美容・健康系の書籍の執筆、ウエブ媒体でのエッセイ執筆も。インナービューティに関する資格や漢方養生に関する資格なども保有し、豊富な美容知識や人脈をもとに、ビューティプランナー、ビューティアドバイザーとしても活躍中。